中古マンションを購入するときには必ず、「このマンションはあと何年住めるのか」という問題に直面します。いわゆる耐用年数の問題です。特にリノベーションをしたいと考えている人は「せっかく内装を綺麗にするのに5年で立て替えになったらどうしよう」なんて躊躇する人もいるでしょう。結論を先に言うと、この問題に答えをだすことはかなり難しいです。ですが、そんなときに何を考えたらいいのか。今回はそのあたりについてお話しします。
マンションが終わりを迎えるとき
マンションが終わりを迎えるのは
- 建て替え
- 住めなくなる(廃墟と化す)
主にこの2パターンです。日本では1960~70年代以降、分譲マンションが活発に建設されてきました。それらのマンションが現在築40~50年を迎えています。日本中にはたくさんのマンションがあるものの、実際に立て替えが行われた事例は200件ほどしかありません。しかも立て替えが行われたマンションのほとんどが1981年以前に作られた旧耐震基準のもの。新耐震基準が採用されている1981年以降に建てられたマンションの建て替え事例はほとんどないのです。そんな中、例えば「築30年の中古マンションっていつまで住めるの?」って誰かに聞いたって誰にも分かりません。
マンションは建て替えられるのか
まず、マンションの立て替えには「所有者の5分の4以上の同意」が必要です。
しかし古いマンションは住民も高齢化していることが多く、「環境を変えたくない」などの理由から同意を得られないことがほとんど。各家庭が建て替え費用を負担するとなればなおさらです。建て替えはなかなか実現しないと言われています。
建て替え事例が少なすぎる。というより〝ほぼ、ない〟
新耐震基準のマンションの寿命は50年とも100年とも言われます(まずこの時点で差がありすぎるし、ざっくりすぎる)。今のコンクリート寿命は120年あるとさえ聞きます。ですが新耐震基準になってからは、まだ36年しかたっていません。事例が少ないというより、まだ50年経っていないので、事例が〝ない〟に等しいのです。だから何度も言うように「中古マンションの寿命は何年?」という答えは専門家も「まだわからない」のが実際のところです。
「わからない」けど「リスクを減らす」ことはできる
正直、マンションの耐用年数は「ピンキリ」です。「ものによる」という言葉で片付けるしかありません。
答えがわからないのなら、できることは「リスクを減らす」こと。一番大事なのは管理のしっかりしているマンションを買うことです。人間だって不摂生な生活をしていれば病気になって寿命が短くなります。マンションも同じ。ちゃんと手入れしなければ、その分早くダメになってしまいます。
リスクを減らしたいなら、まず1981年以降の新耐震基準で建てられたマンションを選ぶこと。そして管理の行き届いた物件を見つけることです。
マンションの修繕履歴は管理組合に問い合わせれば公開してくれます。配管や外壁など経年劣化するもののメンテナンスがどれくらい行われているか。また、行われる予定はあるか。それを行うための修繕積み立て金は十分か。確認するべきことをしっかり事前にチェックすることで、長持ちするマンションを手にすることが出来ます。
ここに例を挙げますが、
- 管理の不十分な築5年のマンション
- 管理が行き届いている築20年のマンション
たとえ同じ値段だったとしても、絶対僕は後者をオススメします。「マンションは管理を買う」といっても過言ではありません。
「中古マンションの寿命は何年?」に答えを出すのは難しいです。ですが長持ちするマンションを見極めること自体は、決して難しいことではないのです。
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